本子とイネス。決勝戦を勝ち上がった二人の闘いは1Rからお互い一歩も退かない打撃戦となった。飛び散る汗、唾液、そして血飛沫。2Rにイネスがダウン。5Rには本子がダウンを喫した。しかし二人は相手のベストショットといえるパンチで倒されても立ち上がる。そして、第6Rに入るとその打ち合いはさらに壮絶な色合いを見せる。もはやガードは意味をなさなかった。ガードを疎かにしたわけじゃない。ガードをする気力さえ二人には残っていなかったのだ。相手に勝つために、残された僅かな体力をパンチを放つことにだけ注いでいく。足を止めてノーガードで打ち合う本子とイネス。そして、壮絶な殴り合いに終止符を打つ一撃が決まった。イネスの右ボディブロー。本子の身体がの字に折れ曲がり前のめりにキャンバスに沈み落ちていく。テンカウントが数えられ、この瞬間、イネスのThe queen of boxers2004優勝が決まったのだった。

 

〇イネス・アスタシオ(6R 1分32秒KO)日向本子●